1.豆電球による論理回路



1.豆電球による論理回路
 (まめでんきゅう による ろんりかいろ)


1.1 乾電池(かんでんち)と豆電球(まめでんきゅう)
1.2 回路図(かいろず)で使う記号(きごう)
1.3 AND(アンド)回路
1.4 OR(オア)回路
1.5 NOT(ノット)回路
1.6 つなぎ方の工夫
1.7 つなぎ方(結線)パターンの素子化
1.8 NOTのつなぎ方で?


1.1 乾電池(かんでんち)と豆電球(まめでんきゅう)



論理回路というと、ちょっと難しいと、

敬遠する人もいるかもしれません。


だけど、小学校のころ、乾電池をつないで

豆電球をつけたことがある人は多いでしょう。


今、次のような回路があったとします。

スイッチがオンになっていないので、豆電球はつきませんね。


       

そこでスイッチをオンにしてみましょう。豆電球がつきます。


       

スイッチがオンになっていれば,豆電球がつき,

スイッチがオフになっていれば,豆電球が消えるということさえ

分かれば,論理回路も理解できますので,

難しく考えないことにしましょう。



1.2 回路図(かいろず)で使う記号(きごう)




前のページの乾電池と豆電球、スイッチの関係を色々みていきましょう。

これらの関係がわかれば、論理回路はそんなに難しくはありません。

ただ、その前にちょっと準備をします。


いちいち絵を描いていると大変ですので、

これからは、次のように略して描くようにします。


             図1-1 回路図での記号


これらの記号を使った図を「回路図」と呼びます。

前ページの回路を回路図で書き直してみましょう。次のようになります。

        

          図1-2 回路図による表現



1.3 AND(アンド)回路




次のようにスイッチ2個(AとB)を直列につないだ回路を考えてみましょう。

       
     図1-3 AND回路(スイッチの直列)


この回路では、AとBの両方のスイッチがオンであれば、

豆電球Cは点灯します。


どちらかのスイッチがオフ、または両方ともオフだったら、

豆電球は点灯しません。


このことを、言葉で言えば、

   「AとB(A and B)がオンならばCが点灯する」

ということができます。

ですから、この回路を「AND回路」と呼びます。


ここで、スイッチがオフの状態を0、オンの状態を1、

豆電球が点灯していない状態を0、

点灯している状態を1として表にしてみます。


このような表を「真理値表(しんりちひょう)」と呼びます。

                   表1-1 ANDの真理値表

A

B

C




1.4 OR(オア)回路



それでは、次のような回路ではどうでしょう。

スイッチA、Bが並列につながっています。

      

     図1-4 OR回路(スイッチの並列)


この回路では、AとBのどちらかのスイッチがオンであれば、

豆電球Cは点灯します。


両方ともオフだったら、豆電球は点灯しません。

このことを、言葉で言えば、


  「AまたはB(A or B)がオンならばCが点灯する」


ということができます。

ですから、この回路を「OR回路」と呼びます。


AND回路と同じように、スイッチがオフの状態を0、オンの状態を1、

豆電球が点灯していない状態を0、

点灯している状態を1として、真理値表にしてみましょう。


               表1-2 ORの真理値表

A

B

C


1.5 NOT(ノット)回路




次は、スイッチを1個だけ使います。次の回路を考えます。

            

         図1-5 NOT回路(結果の豆電球と並列)


この回路では、Aがオフであれば豆電球が点灯します。


オンだったらどうでしょう。

豆電球には抵抗がありますから、

Aをオンにすると豆電球の方には電流が流れません。

すなわち点灯しません。


ですから、

   「Aがオンでなければ(not A)Cが点灯する」

ということができます。

ですから、この回路を「NOT回路」と呼びます。


NOT回路も真理値表で表現しましょう。


               表1-3 NOTの真理値表

A

C

1

1

0





1.6 つなぎ方の工夫





今までの3つの回路で、スイッチのオン、オフ(1または0)が入力、

豆電球が点灯する(1)か、しない(0)かを、出力として考えると、

3つの回路でAND、OR、NOT回路が実現できたことになります。


色々な論理演算は、最終的にはAND、OR、NOTで表現できますので、

これらの回路を使って、論理演算を表現できることになります。

これらのつなぎ方(結線)を工夫して、

色々な演算回路を作っていくわけです。


しかし、つなぎ方をその都度考えるのは大変です。

そこで、つなぎ方だけを、ひとつにまとめてしまうことにします。

        

          (a) AND回路



        

           (b) OR回路



        

           (c) NOT回路

      (ハッチング部分がつなぎ方のパターンです)

        図1-6 つなぎ方だけをまとめる


図1-6の回路は、これまで出てきた

     AND回路、OR回路、NOT回路

と、つなぎ方が同じです。

このことを線のつなぎ方で確認しておきましょう。



1.7 つなぎ方(結線)パターンの素子化




色々な論理回路を作る際、つなぎ方をバラバラに考えるのは大変です。

そこで、図1-6のパターンは、既に分かっているものとします。

色々な演算を回路で表現してみましょう。

@ X = C or ( A and B )
       

           図1-7 C or (A and B) 回路

          表1-4 C or (A and B)の真理値表

A

B

C

A and B

C or (A and B)

0

0

0

0

0

0

1

0

1

0

1

0

0

0

0

1

1

0

1

1

0

0

0

0

1

0

1

0

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1



A X = not ( A or B )

この回路は、ORをNOTしたもので「NOR回路」と呼ばれます。

同じように、ANDをNOTしたものは「NAND回路」と呼ばれます。

       

          図1-8 not(A or B) 回路


      表1-5 not(A or B)回路の真理値表

A

B

A or B

not (A or B)

0

0

1

0

1

1

0

1

0

1

0

1

1

1

0



図1-8を参考にしてNAND回路と真理値を作ってみましょう。

(ヒント:ORの部分をANDで入れかれるだけ)。



1.8 NOTのつなぎ方で?



図1-6を観察してみましょう。ANDやORの出力に対して、

NOTのつなぎ方が少しだけ違っています。


実は、これが曲者でした。


例えば、X = not (not A)のつもりの下の回路を見てみましょう。

一見、正しそうに見えますが・・・。

     

    図1-9 結線の論理回路で正しくない例(その1)


NOTは反転ですから、反転して反転ならば元に戻るはず。

表1-6が正しい結果です。


ですから、スイッチAを入れると、豆電球がつくはずなのに?


表1-6 not(not A)の真理値表

A

not A

X = not(not A) = A

1

0

1

0

1



これは、ANDとORの線の出し方と、

NOTの線の出し方が違っているためです。


実は、NOTが出力直前、すなわち乾電池と豆電球のすぐそばにないと、

正しい結果を出さないことがあります。


たとえば,次の例はうまくいきます。


真理値表の値と豆電球がつくかつかないを比較して、確認しましょう。


うまくいったり、うまくいかなかったり。困りましたね。

X = (not A) and (not B )



図1-10 結線の論理回路で正しい例

表1-5 (not A) and (not B)回路の真理値表

A

B

not A

not B

(not A)
and (not B)

0

0

1

1

1

 NOR回路と
 同じであることに
 注意しよう

0

1

1

0

0

1

0

0

1

0

1

1

0

0

0

しかし、ANDのところをORにしたら、とたんにうまくいきません。


これは、宿題として出しておきますので、

皆さんで確かめてみて下さい。


線のつなぎ方だけでNOTにするには、

スイッチと豆電球を並列に置くしかありません。


一方,ANDとORをつなぎ方は,豆電球と直列です。

ここが違っているわけです。


そこで、スイッチによる回路。次の章で、説明しましょう。





第1編 コンピュータの原理

1. コンピュータは計算機

2.コンピュータに必要な機能

第2編 論理回路の話

1.豆電球による論理回路

2.スイッチによる論理回路

3.論理回路図の単純化

第3編 コンピュータの回路

1.加算回路と減算回路

2.記憶回路

3.順序回路


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