2.コンピュータに必要な機能



2.コンピュータに必要な機能
 (コンピュータ に ひつような きのう)


2.1 コンピュータは手順をおぼえていて計算する
2.2 やり方の指示
2.3 やり方をおぼえておく
2.4 手順書(てじゅんしょ)の理解(りかい)
2.5 入力(にゅうりょく)
2.6 出力(しゅつりょく)
2.7 コンピュータに必要な機能(きのう)

2.1  コンピュータは手順をおぼえていて計算する


コンピュータは、「自分では判断(はんだん)できないが、

やらせれば計算のことなら
なんでもできる機械(きかい)」です。


ただ、ここがやっかいです。



なぜって? たとえを使いましょう。


クレヨンでしか絵をかけない人には「絵をかけ」というだけで、

クレヨンで絵をかけという指示になります。



油絵(あぶらえ)も水彩画(すいさいが)もかける。

墨絵(すみえ)もかける。

もちろんクレヨンでも絵をかける人がいたとしましょう。


この人には、絵をかけだけでなく

「クレヨンで」と付け加えなければなりません。



すなわち、「自分で決められないが、何でもできる」人に対しては、

細かく指示しなければなりません。


逆に言うと、「自分で決められないが、何でもできる」は、

「細かく指示しなければ、何もできない」ことと同じになります。

 


2.2   やり方の指示


手順を指示するには、2通りの方法があります。

まず、1つ目は、指示する側が手順をおぼえていて、

「次はこれをやりなさい」と、

作業が終わった時点で次の作業を指示するやり方です。

すなわち、1ステップ毎に指示する方法です。


コンピュータの親戚である電卓では、

キーで数字を叩いて、+や-の演算記号を叩いて・・・。

これが1ステップ毎に指示する方法にあたります。



ふたつ目は、
手順書を渡して、そのとおりやらせる方法です。

コンピュータでは、この手順書のことを「
プログラム」と呼びます。



 
         1-4 手順書の例(大根を買うおつかい)

@   千円札をうけとる。

A   八百屋に行く

B  店の人に「だいこんを下さい」と言う。

C  店の人からだいこんを受け取る。

D 
千円札を払う。


E 
おつりをもらう。


F  うちに帰る。

G   だいこんとおつりをわたす。

 

 


2.3 やり方をおぼえておく(記憶)


手順書をわたされた人は、手順を忘れないようにしなければなりません。

自信がないときは、手順書を手元に持っていて

確認できるようにしておかなければなりません。


手順書が分厚くて大変であれば、

とりあえず必要な分だけコピーするか、メモをとって手元におきます。



すなわち、作業中にすぐに取り出せる場所に

手順書(コピーやメモを含む)を置いておくしくみが必要です。

コンピュータでは、作業中の手順書「プログラム」を

主記憶装置(「メインメモリ」ともいう)において、

1ステップずつ実行していきます。


この方式は、数学者のフォンノイマンという人が考案しました。

そこで、現在のコンピュータのことを「
ノイマン型コンピュータ」と呼びます。

また、メインメモリにプログラムを

格納(かくのう:英語で「ストアー」という)して実行する方式のことを

ストアード・プログラム方式」と呼びます。



手順書が分厚い場合、すなわちプログラムが大きい場合、

その一部分のコピーをメインメモリにおきます。

プログラム自体は、後で出てくる「
補助記憶装置」に置いておき,

コピーを見ながら実行します。


他の部分が必要になったら、必要になったところをコピーします。


ちょっと難しい言葉になりますが、

これを「
仮想記憶方式(かそうきおくほうしき)」と呼びます。

 


2.4  手順書の理解(てじゅんしょ の りかい)


手順書をわたされた人は、手順書を理解して、

指示された順序で作業を実行できなければなりません。

すなわち、手順書を解読し、順序よく実行するしくみが必要です。



コンピュータでは、このしくみを

中央処理装置(ちゅうおうしょりそうち)またはCPU(しーぴーゆー)

と呼びます。

特にパソコン用に使われているCPU

家電製品等に使われているCPUを小さな処理装置、

すなわち
MPU(えむぴーゆー)

と呼ぶこともあります。


コンピュータは、2進数で書かれた

機械語(きかいご。マシン語ともよばれる)

という言葉を理解します。


人間がこれを理解するのは大変です。

逆に、コンピュータは、人間の言葉を知ることはできません。



英語しかわからない人に、日本語しか知らない人が、

会って仕事を頼むときは、

通訳(つうやく。英語で「インタプリタ」)

の人に通訳してもらいます。


あるいは、日本語で書いた手順書を、

翻訳家(ほんやくか。英語で「コンパイラ」)

の人に頼んで、

英語の文章にしてもらいます。



コンピュータでも、2通りの助けを借ります。

この助けるための特殊なプログラムを

言語処理(げんごしょり)プロセッサ

といいます。


人間の言葉に近い表現で書いた手順書を、

1ステップ毎に解釈するプロセッサを

インタプリタ

といい,手順書を一括して機械語に翻訳するプロセッサを
コンパイラ
といいます。



2.5  入力(にゅうりょく)


ところで、手順書を一般的に表したい場合があります。


先ほどの手順は、

八百屋さんに行ってだいこんを買うおつかいでしたが、

次のように変更してみましょう。



1-5 手順書の例(一般化した手順書)

@     Bをうけとる。

A    
Xに行く


B    
店の人に「Aを下さい」と言う。


C    
店の人からAを受け取る。


D    
Bを払う。


E    
おつりをもらう。


F    
うちに帰る。


G     Aとおつりをわたす。

 

 

 

 

 

 

 

X : 八百屋

A : だいこん

B : 千円札


こうすると、Xを魚屋に、Aを魚のさばに変えれば、

魚屋さんに行って魚のさばを買うおつかい

の手順書に使うことができます。

だけど、手順書を使おうとするとき、

XABなどを後から与えるしくみが必要になります。


プログラムが読み込まれた後で指示するためのしくみ、

これをコンピュータでは

入力装置(にゅうりょくそうち)」

と呼びます。




2.6  出力(しゅつりょく)


処理した結果も欲しくなります。


おつかいを頼んだ人は、おつかいに行った人から、

Aとおつりを受け取らなくては、頼んだ意味がありません。


おつかいに行った人の仕事は、
Aとおつりを頼んだ人にわたして、やっと終わりになります。



頼まれた仕事をやっても、

終わったことを頼んだ人に言わない人がいます。


頼んだ人が「この前、頼んだことどうなったの」と聞くと、

ああ、あれ。やっといたよ」と平気で答える人がいますが、

仕事は、終わったことを頼んだ人に知らせて初めて、

終わったことになります。


おたがいに気をつけましょう!!


結果を依頼した人にわたすためのしくみ、

これをコンピュータでは

出力装置(しゅつりょくそうち)

といいます。


また、入力装置と出力装置をあわせて

入出力装置(にゅうしゅつりょくそうち)

といいます。



私たちの生活では、今は使わないけど、後で使うために、

しまっておく場所を用意します。

書棚、茶だんす、冷蔵庫のようなものです。


プログラムやデータでも今は使わないけど、

後で使いたいために、しまっておく場所があります。

これをコンピュータでは

補助記憶装置(ほじょきおくそうち)

といいます。

 


2.7  コンピュータに必要な機能(ひつような きのう)

これまでをまとめると、コンピュータに必要な機能は次のようになります。

(1) CPU
   (シーピーユー)
機械語で書かれた手順書(プログラム)を
解読して実行するしくみ
(2) メインメモリ
   (
主記憶装置
プログラムやデータを覚えておくしくみ
(3) 入力装置 データを後から与えるためのしくみ
(4)  出力装置 結果をユーザに見せるためのしくみ
(5)  補助記憶装置 プログラムやデータを後で使うために
しまっておく場所
 

これらのはたらきを図にすると,図1-1のようになります。


1-1 コンピュータの基本構成




第1編 コンピュータの原理

1. コンピュータは計算機

2.コンピュータに必要な機能

第2編 論理回路の話

1.豆電球による論理回路

2.スイッチによる論理回路

3.論理回路図の単純化

第3編 コンピュータの回路

1.加算回路と減算回路

2.記憶回路

3.順序回路


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